ひとことで輸入感染症といっても症状は様々です。体のだるさから始まるもの、突然の発熱、腹痛や下痢で始まるものもあります。
何か症状があった場合は医療機関を受診するのが安心ですが、旅行中ではそう簡単に受診するわけにはいきません。
カゼであればほうっておいてもかまいませんが、医療機関で治療を受けないと良くならない感染症もあります。
熱があるのに鼻水、のどの痛み、咳などの感冒らしい症状がない場合は、下記を参考に医療機関を受診するかしないかを決めてください。
また、感染症には数日から場合によっては数ヶ月の潜伏期間(病気の原因が体内に入ってから症状が現れるまでの期間)があります。
帰国後も何か症状のあるときは輸入感染症の可能性を念頭において、受診した医療機関で海外渡航歴を必ず医師に伝えてください。
帰国してからの発病も多々あります。
発熱 | 頭痛 | 下痢 | 嘔吐 | 腹痛 | 皮疹 | その他 | |
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マラリア | ◎ | ○ | △ | 肝障害、黄疸 | |||
A型肝炎 | ○ | ○ | 肝障害、黄疸 | ||||
デング熱 | ◎ | ○ | ○ | 眼窩痛、筋肉痛 | |||
腸チフス・パラチフス | ◎ | △ | △ | △ | |||
コレラ | ◎ | ○ | △ | ||||
ジフテリア | ○ | 扁桃の偽膜、かすれ声 | |||||
細菌性赤痢 | ○ | ○ | ○ | ○ | しぶり腹 | ||
ポリオ | ○ | ○ | △ | △ | 髄膜刺激症状 | ||
黄熱 | ◎ | ○ | ○ | △ | 出血傾向、黄疸 | ||
日本脳炎 | ◎ | ○ | ○ | 髄膜刺激症状 |
圧倒的に多い症状が下痢です。
下痢のときは、便の性状や発熱がないかをみておく必要があります。
便はコレラでは米のとぎ汁、細菌性赤痢ではイチゴゼリーのようになります。
体の水分が奪われて脱水にならないよう、できる限り水分の補給をするようにしましょう。
また、腸の中で原因となった菌が増殖することもあるので、下痢止めの使用には注意してください。
ほかの人へうつさないように排便後は石鹸や消毒薬でよく手を洗うことも大切です。
1日3〜4回程度の下痢で、発熱がなく、水分摂取が可能な場合は、水分補給に気をつけて経過観察でかまわないでしょう。嘔吐などで水分接種ができないときや、血便があるときは医療機関を受診してください。
下痢に次いで多い症状が発熱です。
38℃以上の発熱が何日か連続してみられるとき、寒気や発疹を伴うときは注意が必要です。
熱帯熱マラリアは初期治療が遅れると重症になりますから、流行地域では常にマラリア感染を念頭に置き、医療機関を受診することをお勧めします。
特に、のどの痛み、鼻水、咳などのカゼのような症状を伴わない発熱は要注意です。
また、病気により熱の出方が違う場合もありますので、体温の記録をつけることも重要です。
同時に他に何か症状がないかを観察することも大切です。