東南アジア、アフリカなどの途上国を中心に全世界的に見られる。例えば、エスキモーの間でも高率に見られ、イタリア、スペインでも散発的に発生している。
飲食物(水、氷、カットフルーツ、生野菜、カキなどの魚介類)から感染
2〜6週間(平均30日)
経過 発熱(38℃以上)、全身倦怠感、食欲低下、嘔気、嘔吐、胃部不快感、胃痛、下痢、黄疸が現れる。発熱は5〜7日程度で、自然に解熱する。全身倦怠感、食欲不振などの症状が前景に目だって出現してくることが多く、肝機能検査を実施しなければ気付かない程度の軽症も多くみられる。
一般に小児が感染した場合全身症状が軽いが、成人では1ヶ月以上の休養が必要なことがある。
一般的に予後は良好であるが、1%程度が重症の肝機能障害を呈する。
肝機能異常とIgM抗体陽性を確認すれば診断確定となる(ときにIgM抗体の陽性化が遅れることもあるので、その場合には繰り返し検査が必要となる)。
A型肝炎ワクチン接種により、ほぼ全例で抗体価の上昇がみられる。カットフルーツ(自分で剥いたものは大丈夫)やサラダ、生の魚介類は避け、十分に加熱調理したものを食べるようにする。また、水はミネラルウォーターか沸騰させたものを飲むようにし、飲み物の中の氷にも注意する。食事は不衛生な屋台などは避け、衛生状態の良い店を選ぶようにする。
3回の予防接種で5年以上抗体が維持できる。また、時間のない場合でも2回の予防接種で、6ヶ月の免疫(80%以上)は維持できる。16歳以上の方が対象となる。
日本に住んでいても、現在50歳以上の方や、長期に途上国で生活した方の中には抗体をもっている可能性があるので、抗体を測定してから必要に応じてワクチンを接種するのが良い。