アジアの熱帯・亜熱帯地域、オセアニア、太平洋、中南米、西アフリカ、カリブ海諸国(近年ケアンズ、ハワイでもみられた)でみられる。田舎だけでなく都市部でも発生している。
デング熱ウイルスを持ったネッタイシマカやヒトスジシマカに吸血されると感染する。
3〜14日で通常は4〜7日
発熱だけの軽い症状で終わることもしばしばあるが、中には重症になることもある。典型的な症状は、発熱(38〜40℃)、頭痛、眼窩後部痛(眼の奥の痛み)、関節痛、筋肉痛、全身の発疹、羞明(明るいところだとまぶしい)、全身リンパ節腫脹、腸チフス/パラチフスと同様に比較的徐脈などがみられる。発熱は突然始まり、5〜7日間続き、ときに二相性(発熱は稽留するが、2、3日後に一過性に解熱し、再び発熱する)を示す。二相性発熱の場合では後期の発熱時に、一相性発熱の場合では解熱時に一致して発疹が出現することがある。
発病後4〜5日以内であれば、血中からのウイルス分離やPCR法での検出が可能であり、その時期を過ぎればIgM抗体の検出が可能となる(専門機関への依頼が必要です)。血液検査では白血球減少、血小板減少がみられ、血小板はしばしば30,000/μl以下となる。
蚊に刺されないように注意する。デング熱ウィルスを媒介する蚊は日中にも活動し、衛生状態の良い都市部でもみられている。
現時点で一般に使用される有効な予防接種はない。
デング出血熱 デング熱ウイルスは血清学的に4種類に分類され、1種類のデング熱ウイルスに感染しても、他の血清型のウイルスに感染し、再びデング熱を発症することがある。その際に免疫学的機序により出血傾向を伴ってくる場合があり、デング出血熱と呼ばれる。全身の出血症状が見られ、場合によっては死に至ることもある。デング出血熱に進展する可能性を含め、出血症状やヘマトクリット値上昇(血液濃縮の指標)の監視を怠らないようにすべきである。
平成13年の夏は東南アジア特にフィリピンで大流行した。治療に関しては、ほとんどの患者さんは保存的治療で対処可能だが、デング出血熱に進展する可能性を考慮して監視が必要である。血小板減少とライ症候群が出現する可能性あるため、解熱鎮痛薬としてアスピリンは禁忌である。